パンツは履いておけ。

いろいろはみだしてる人の人生備忘録

17才のときに、見知らぬおじさんにぱんつを売った話

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時効ですか、そうですか。

これは、私が未成年の時に、初めてぱんつを売ったときのお話です。

今、大学の卒論を、ジェンダー、とりわけセックスワーカーをテーマに仕立てようと構想しているのですが、指導教員に「なぜ、君は、ジェンダーをやりたいの?ていうか、本当にジェンダーをやりたいの?」と聞かれて、私は、答えられなくて、沈黙して。

確かに、ずっとジェンダーがやりたいと思っていた。去年まで、理系の大学に在籍していたけど、何か心に騒ぐものがあって、社会学がやりたくて、別の大学に編入。それなのに、ジェンダーをやりたい気持ちは確かにここにあるのに、それがどういうものなのか、私は説明できなかった。こんなに情けなくて、あほなことはない。

指導教員のふたつの瞳が、じりじりと私を焦がす。そのとき、ふと、心に引っかかっていた物が、ころんと喉の奥から出てきました。

「私、ぱんつ売ったことあるんですよ」

指導教員は、男性です。私より、十数歳ぐらい上の。先生は、「ほぉん」という感じで、にっこり笑った。それは、セクハラおじさんのイヤラシイ笑みではなくて、研究者の、探求心溢れる顔。そこからは芋づる式で、勝手に口が動く動く。昔、自分の性を商品化したこと。墓場まで持って行こうと思っていた、私の、誰にも見られちゃいけない(と思っていた)部分。なんと、それを、出会って数週間の指導教員に、喋ってしまったのです。

先生は茶化さない。それどころか、私の一言一句を聞き逃さぬように、しっかりと、耳に全ての神経を集中させて、聴覚を研ぎ澄ましているようでした。

だから、おじさんたちの「そんなこともうしちゃだめ!」とか謎の正義感溢れる的外れの説教なんて、ナンセンス。だってそんなもの、私は求めていないのです。

(自分だって、えろには散々お世話になってるくせに、風俗に来て、抜くだけ抜いといて、「こんな仕事もう辞めなさい!」なんて嬢に説得するオッサンいるいる~!)

 

だから、ここに、ぱんつを売った過去を、自分勝手に書き散らします。

 

◇◇◇

 

私の家庭環境については別の記事で触れていますが、ここでもうっすら書いておきます。私がぱんつを売ることにした、要因であるので。

 

早い話が父親はアル中、DV。母親は教育ママ。私は中学受験をして都内の私立中高一貫校に通う、まあまあエリートちゃんでした。しかし、家庭環境と勉強のプレッシャーに圧迫されて精神崩壊し、中三で自殺を試みるも失敗し、それから数年鬱と付き合って生きてきました。

夫のDVに耐えかねた母親は、私が15歳の時に、私だけを連れて賃貸マンションに夜逃げしました。ですが、私と母親はそこで二人きりになったことで、ますます親子関係を拗らせていきました。私は高校を辞め、バイトはしていたけど宙ぶらりん。母は、私の存在を頭の片隅にさえ置いておきたくなかったようで、とにかく仕事に没頭していました。ここまでが、ぱんつを売る前提の話です。

 

◇◇◇

 

高校にも行っていないので、日がなアルバイトをしていて、17才ながら月10万円ほどの収入はありました。しかし、特に買いたいものもなく、大金を手にした若い子によくありがちな「金銭感覚が狂う」とか、そういうのも私にはありませんでした。

ある日、偶然、ネットのいかがわしい広告で「ブルセラ」という言葉を知り、私は自分の履いたぱんつが5000円で売れることを知りました。

私の時給は、当時の東京都の最低賃金、850円。拘束時間8hのシフトで5000円ちょっとの日給だったので、目玉が飛び出るぐらい、ぶったまげました。私が一日汗水流して働いたお金は、その時私が履いているぱんつと同価値なのです。世界、なんて広いんだ。

私はそういった掲示板でやり取りをして、ぱんつを買ってくれるおじさんを見つけました。もちろん、ただのぱんつを5000円というわけではなく、何日か履いてしっかり匂いをつけるという「条件」を提示されました。

おじさん曰く、「若い女の子が何日も履いたパンツのにおいを嗅ぐのが好きだから、いっぱい汚してほしい」

人が履いたパンツをくんくんとか、ぺろぺろとか、ビョーキになりそう。

でも、世の中には、そういうフェティシズムもあるのです。若干17才で、私は知らなくてもいい世界を知ってしまった。

ぱんつは「手渡し」で渡したり、目の前で直接脱いで渡す「生脱ぎ」だったり、いろいろ方法がありますが、私は最もリスクが低そうな郵送を選びました。郵送先をみたら、長野だか岐阜だか、私の住んでいる東京からみると遠くにいる人でした。

来る日も来る日も、私は同じぱんつを汚し続けました。そして、イイ感じになったら、ジプロックに入れて、指定された住所に郵送。数日後、おじさんからお金を振り込んだことの知らせ兼ぱんつの使用感想メールが届きました。

私のぱんつはどういう匂いがして、おじさんはそれをどういう使い方をしたか、印刷したらフォントサイズ9ぐらいでもA4用紙ぎっしりになりそうなレベルで、みっちりレビューが書かれていました。

私は何が何だかよくわからなかったし、でもお金はちゃんと振り込まれていたし、すごく褒めてもらったので、とりあえず「ご利用ありがとうございました」という妙に事務的なメールを送ってしまったのを覚えています。今思うとシュール。

ぱんつを売ったのはそれきりです。世の中には未知のフェティシズムがあること、エンコーのように直接身体を売らなくても、自分のぱんつを売るだけで、エリート街道から零れ落ちて社会からずたぼろにダメ出しされた私の自尊心が、究極に満たされることを知ってしまいました。これが、私と"性"の出会いだったと思います。

そして、この後、ちょっとずつ、ずぷずぷと、"性"に触れていくことになりますが、とりあえず、今回はここまでです。